リバネス研究日誌(らぼのーと)

エッジが立ってると評判です

チェシャ猫に学ぶ、スタートアップに経営ビジョンが必要な理由

アリス:  どちらの道に行ったらいいの?
     
チェシャ猫:  そりゃ、おまえがどこへ行きたいんだい。 
  
アリス:  わからないわ・・・
  
チェシャ猫:   それなら、どっちに行っても同じことさ。("Then it doesn't matter. If you don't know where you are going, any road will get you there.")

 

有名なルイス・キャロルの児童小説『不思議の国のアリス』の中の1場面。

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どこに行っても、どの道を通っても、目的地がわかってなければ無意味だということをチェシャ猫は言っています。

 

企業も同じじゃないでしょうか。スタートアップ、大企業の新規事業いずれも、説得力のある、時を越えて通用するようなビジョンがないと、何に取り組もうが意味がありません。

 

どのような技術を採択するか、どのように販売するかは関係ないのです。

 

ましてやテクノロジーや、今の景気動向(盛り上がってるかどうか)なんていうものは直ぐにうつろいます。

 

時間の変化やテクノロジーの変化に対して、Robust(ロバストである、頑健性がある)なビジョンが望ましく、パッと見では抽象的であることが多いです。

 

例えば

  • 科学技術の発展と地球貢献を実現する(リバネス、手前味噌ですが)
  • Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。
  • Twitterのミッションは、言語や文化などの障壁をなくして、思いついたアイデアや見つけた情報を一瞬にして共有する力をすべての人に提供することです。
  • 遺伝子の研究を推進し、正しい使い方を広め、人々の生活を豊かにすること。それが私たちのミッションです(ジーンクエスト
  • 最先端テクノロジーで健康をデザインし、病気ゼロの社会を実現する(メタジェン

  • オリィ研究所は 「あいたい人にあえる、 いきたい所にいける」 を実現する会社です。(オリィ研究所

 

抽象的ですね。

 

個別具体のテクノロジーに言及していません。

 

「Rasberry Piを使って安価にhogehogeのIoT化をします」はビジョンとしては3流です。

 

例えばフィンテックでも「ブロックチェーン技術を使って〜します」とか、「〜〜認証技術を提供します」ぐらいの言い方だと、長持ちしてせいぜい2年くらいの感じしませんか?

 

たぶん、いまビッグデータとかデータサイエンティストって言ってる人が減っているのと一緒じゃないかと。

 

トレンドは1年も持てばいいほうで、技術も数年で賞味期限が切れてしまうような業界が多いと思います。

 

また、「最高峰のロボットハンド制御技術」とか「世界最速の〜〜技術」とか品質を問題にするビジョンを掲げるのもいまいちです。

そりゃ、品質はいいに越したことないです。

 

が、それで結局どこに向かうのかがわからないのです。

 

1番になったらどうするの?1番じゃなくなったらどうなるの?

困っちゃうでしょ?

 

抽象的でもいいから、遠い未来に何が起きているのか、どういう状態を目指しているのか、誰が喜ぶのかを掘り下げることでビジョン形成するのが重要です。

 

TECH PLANTERでは、技術の実用化に際して重要な、ビジョン形成の作業を熱く手伝っています。ご相談お待ちしています。

 

techplanter.com

 

 

地方発メガベンチャーを生むための仕掛け 熊本ではじまる

本日、弊社より「ベンチャー支援、熊本で頑張るぞ」という発表がでました

大企業、大学、中小企業、ベンチャーベンチャー支援のヒトが多数入り乱れての、つながりのある取組をつくっていきます。

 

これまでも、産業振興、大企業誘致などの取組がなかったわけではななかった。しかし、それを一本筋を通して実施するのはなかなか骨が折れたんだそうです。

 

そこに串を通して、ベンチャーの成長の通り道をつくる。そういうことをしようとしています。

 

多数の方の協力があって実現したことです。

 

私も頑張ります

 

熊本県・(株)肥後銀行・国立大学法人熊本大学・(一社)熊本県工業連合会・(株)リバネスが「次世代ベンチャーの発掘・育成に向けた連携協定」を締結 | 知識プラットフォームのリバネス-Leave a Nest-

 

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もしf.lux(画面の色温度を自動調整するアプリ)使って画面がチラつくなら(OS X El Capitan)

f.luxのver 36.6のアップデートメッセージによれば、

Macのシステム環境設定>ディスプレイの{輝度を自動調節}がONになってると、画面が点滅することがあるよ!

とのことでした。

というわけでオフにしてみたので、これでストレスなくf.luxが使えます。

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次のMac OSではデフォでブルーライトカット機能を備えているという噂ですので、f.luxの寿命もあとわずかなのかもしれません。便利だったよ f.lux

オリィ研究所を紹介するたびに毎回見せているノルウェーのALS患者さんビデオ

SAN値の削りかたが絶大で、いい意味でバイラルする要素満載。何度も見せるし、そのたびに涙が出そうになるので、改めてブログにしたためることにしました。

www.nrk.no

 

ノルウェー語がまったくわかりませんが、「パパ」という言葉だけわかるし、「お父さん」という意味っぽいので大丈夫です。

同じ投稿ですが、Facebookで流れてきたほうもリンク貼っておきます。

www.facebook.com

 

オリィ研究所の分身ロボットOrihimeの向こう側には、娘と母の暮らす温かい台所がある一方で、Orihimeのこちらがわには、体を動かすことが不自由になってしまったパパがいる。パパは以前は筋骨隆々で、娘を高い高いするのも余裕だったのに。

そのギャップを目にしただけで、息が詰まったし、オリィ研究所には可能性があると思えるのです。

あと能面のロボットという絶妙な不器用さが使用者には好評らしく、「Skypeでいいじゃん」とはならないのが、素人の直観では計り知れないところです。

肝付町、5年越の「宇宙大豆プロジェクト」

ニュースになってた。なつかしの映像もあってびっくり。関係者は、動画みてみてください

 

内之浦宇宙空間観測所がある肝付町内之浦の小学校で、児童たちが「宇宙にまつわるミッション」を5年かけて達成しました。

 肝付町内之浦にある岸良小学校。10人の全校児童は、きょうだいのように育っています。そんな岸良小学校が5年前から取り組んでいるのが「宇宙大豆プロジェクト」。宇宙空間に滞在した大豆の種を地球上で栽培するとどのような変化がみられるかを調べ、宇宙大豆の子孫を私たちがおなかいっぱい食べられる量にまで増やすのがミッションです。
 使われたのは内之浦産の大豆10粒。2011年2月にアメリカのケネディ宇宙センターからスペースシャトルで打ち上げられ、国際宇宙ステーションに約2週間滞在したあと地球に帰ってきました。内之浦に戻った宇宙大豆。翌2012年は10粒約3.4gが148gに増え、栽培は順調かと思えましたが…去年の収穫はわずか640gでした。

この辺の経過は社内で回ってくる噂をうっすらと聞いてました。

 地域の人も手伝って土壌改良を行った結果ことしは32kg収穫でき、やっと宇宙大豆が食べられるようになりました。児童たちが作ったのは、豆腐、おからドーナツ、きな粉です。大豆を原料にさまざまな食べ物を作り出せるということを学びながら、地元の主婦たちと一緒に楽しく調理しました。夢が叶いました! 児童の一人は「とろける宇宙の味がする」と話しました。今後の栽培がうまくいけば、肝付町の特産品として加工品を売り出すことも検討中だということです。 

 

news.ktstv.net

ビヨンド熱本

リバネスで働き初めて7回目の年末を迎えることになりました。今年もお世話になった皆様ありがとうございます。

このエントリでは、「熱」本の各章をながめつつ、自分語りします。

気づいたことを1行だけ書くと、

熱本はリバネスやTECH PLANTERのみんなで加筆する本になるはずだ

気づきが多かったので上記結論に至りました。

本エントリは、そのときのたたき台をだす意義があると全部やりきって思いました。

 

 使った書籍はもちろん↓↓

世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。

世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。

 

 

 

まず、目次をまんま載せておきます。

あとで、自分の消化具合を書いていきます。

もくじ
はじめにーー世界の大原則がビジネスを変える
 
第1章 科学者集団のベンチャー企業リバネス
  1. 「転職率ほぼゼロ」「全プロジェクト黒字」のあやしい企業
  2. 理系の大学生・大学院生15人で立ち上げた科学ベンチャー
  3. すべてのプロジェクトを黒字にする「50%ルール」
  4. 「勉強」でなく「学問」がイノベーションを生む
  5. 仕事とは「事に使える」ではなく「事を仕掛ける」こと
 
リバネス人15か条
 
第2章 「QPMI」 〜イノベーションを起こす魔法のしくみ〜
  1. イノベーションを生むのは「PDCA」ではなく「QPMI」
  2. すべての研究者はQPMIサイクルを回している
  3. 社員のパッションにクエスチョンを与える
 
第3章 アイデアをビジネスに変えるしくみ
  1. 社員は面白いアイデアを考え、経営者はそれをマネタイズする
  2. 「持続可能なしくみ」を考えると必ずお金が必要になる
  3. ビジネスモデルは必ず&(アンド)の発想でつくる
  4. 短期的な利益獲得と同時に長期的な価値の増加をはかる
  5. 社員の問題意識やアイデアは否定せずに頭に浮かべておく
  6. 異分野同士の「架け橋」になることがイノベーションを生むカギになる
 
第4章 イノベーションを生む「組織」のつくりかた
  1. 日本企業に足りないのは長期的なビジョン
  2. モチベーションでなく、パッションをコントロールする
  3. 社長のスケジュールは全社員が自由に埋める
  4. 同時並行にすすめる中でイノベーションの種が生まれる
  5. 新規プロジェクトはお金ではなく「会社の資産になるかどうか」を考える
  6. 市場は、調べずに「つくり出す」
  7. 成果主義」ではなく「プロセス結果主義」にすべき理由
  8. あきらめないこと、考え続けること
  9. 「ビジョナリー・カンパニー」の読み方
  10. 社員教育としての出前実験教室
 
第5章 イノベーションを生む「社内制度」
  1. 小学校の「時間割制」を導入する
  2. 部署の枠を超えたプロジェクトを増やす
  3. 旅行休暇を推奨する
  4. 出社・退社時間を管理しない
  5. 名刺に「やりたいこと」を書いてメンバー(M)を集める
  6. 「中間管理職」という職業の実態をなくす
  7. サラリーマンでなく、ビジネスマンを集める
  8. 「今まで私は何をしてきたか」というテーマで2分間プレゼンさせる
  9. 社員全員の関係が一覧できる「PMTマトリクス」を導入する
  10. リーダーシップ、トレーニング、ルーチンの3つの仕事をつくる

 

ここからが長い長い自分語りと、各節のレビューです。

第1章から

1.「50%ルール」は科学ベンチャー価格戦略に使える

使える節。

僕は今年はじめて他社に対して50%ルールを解説してサービスの価格設計をした。しかも1回や2回でなく何社もそういう相談があった。値付けの方法が定まっていない、ベンチャー企業に対しても基本となる考えとなりうることを確認した。丼具合がほどよいのだと思う。

2.「勉強」でなくて「学問」と捉えれば金融領域もガゼン興味

実践できていると感じる節。

11月から、「投資育成研究」と称した研究テーマを掲げることにした。TECH PLANTERやリアルテック育成ファンドのおかげで、技術ベンチャーに関してのベンチャーキャピタル実務や投資判断などの仕事がうまれてきた。覚えることも多いが、今は学問として知りたいこと・究めたいことが一杯ある。

3.仕事とは「事を仕掛ける」こと

自分の課題を感じる節。

これを高い次元でできないとなあ。お客様との打合せで、従来路線からプラス1する「非連続の提案」があることはわかっていたつもりだった。でも扱う案件が複雑になるにつれ、そのプラス1がだんだん出にくくなる。そこが自分の(今の)限界なのかもしれない。そこをこじ開けるファイティングポーズは常にとらなきゃダメなんだ

 

第2章 「QPMI」 〜イノベーションを起こす魔法のしくみ〜 からの振り返り

1.同じことをみんあが言っているとわかりはじめた→「QPMI」

発展的に消化できた節。

少なくとも個人のPが大事、ということはすっかり市民権を得ていると思うようになってきた。創業者や創業にまつわるエピソードでは必ず突出した個人の「熱」「仮説」「着想」などが登場する。

 佐渡島さんの新著にも似たようなことが書いてあると思った。

ぼくらの仮説が世界をつくる
 

 

 次の本も1人の着想が大事と言っている。

 

変わったところではベル研究所の歴史を辿った本でも、クエスチョンとパッションを持った個人(ただし天才)がいかに組織を動かしたか書かれている

世界の技術を支配する ベル研究所の興亡

世界の技術を支配する ベル研究所の興亡

 

一方で、個人のQやPがどうやって組織になっていくか、については色んな議論があって面白かった。佐渡島さんは「1枚目のドミノを倒す」と表現していたが、1人目がやることは「何かやり始めて見せる」ことだとしている。2枚目、3枚目は1人では倒せない。だから仲間が必要だと解説していた。これは良い表現なのでパクろう参考にしようと思う 。

他方、ベル研究所のほうでは「天才と組織を橋渡しする人物がいた」ことが成功を支えていた、と解説する。これもそうだな、と思う。

 

2.研究者にかぎらず、「生きがい」を持つ人はQPMIサイクルを回している

自分の中で発展した内容。

むしろ、自分の人生に正直に生きたい人はすべてQとPとMは持ちうる。と思うようになった。FacebookでシェアされてきたIkigaiの画をみて、それが確信に近くなった。

 

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Passion と Missionの重なる領域がWhat you loveで、さらにVocationとProfessionが重なるとIkigaiになる。という説明の図である。VocationとProfessionが重なるところはWhat you paid for(稼げるところ)となっているので、すなわちPassion Missionにビジネスの要素が加わると生きがいとなる。という図だ。

ここにはQが書いていない。PassionやMissionの元手がQuestionというのが熱本やぼくらの説明だ。だからQを持つことで生きがいにつながる!なんて美しい説明だろう。

Qをスっと言葉にできるかどうかはすごくトレーニング次第なんだろう、ということを先輩後輩周りの人を見ていて思う。

生きがいとか、生涯かけての野望とかを言語化するトレーニングの一つは、アメリカの大学院のエッセイにあった。自分のJourneyとWhat sparked you to scienceを書け、というアドバイスは今も刺さっている。

3.社員のパッションにクエスチョンを与える、は課題感ある

まだ腹落ちできてない内容。

パッション=コントロールやパッション=マネジメントという体系はありうるだろうか?それとも人間力大賞を取るほどの創業者以外、それを実現できないのか?というのは興味がある。ていうか僕もできるようにならないと辛い。

 

第3章 アイデアをビジネスに変えるしくみ からの振り返り

1.新企画に対する3つの質問

使える節。

3章1節のもっとも「使える」部分が、次の3つの質問だ。

「それ、面白いの」「それ、新しいの」「それ、やり続けられるの」

社内外のさまざまな新企画を横串で見られる、いい基準になっている。

 

2.「持続可能なしくみ」を考えるとお金が必要

いろんなケースで肉付けがされてきた節。

お金に関するモノサシが変わってくる実感がある。たぶん個々人で射程距離が違っていて、1つのプロジェクトが長期間になったり、メンバーが増えたりすることで少し伸びる。事業運営をした経験で伸びる。将来のことを申請書や計画書に落としこむことでまた伸びる。

またリアルテックスクールで資金繰り表について扱ったのも、カネと時間の感覚を養うきっかけになった。

3.ビジネスモデルは必ず&(アンド)の発想でつくる

この節はやや冗長に感じた。

実はビジョナリー・カンパニーの「ANDの追求」だと思うと少し違った。感謝の気持ちを多方面から集めよ、という呼びかけなので、やさしい人には釈迦に説法だ。

 

4.短期的な利益獲得と同時に長期的な価値の増加をはかる

こちらは意識をグイと上げるための節。ビジョナリー・カンパニーの「ANDの追求」の1つで、長期AND短期を同時に追い求めることがいい、という話。時間軸での対立は頻繁に起きるので、意識しないと偏った判断になる。しかし、ANDを追求できなくてウダウダ悩んだり硬直するようではダメだよな、とも思う

5.社員の問題意識やアイデアは否定せずに頭に浮かべておく

ますます重要度が増す話だった。

ボツ企画が存在せず、風船のように浮かせておく、という話でもある。

もしリバネスで長いキャリア、積み上げたものがあれば、何に・どこに効いてくるか。それは浮いている風船の質と量である。これは、今年の気づきだった。同じタイミング、時間軸で打合せして、生み出すアイデアの量が違う理由、それは浮かべてある風船の量によるものだ。

逆にいえば、普段から風船でいいからたくさんの問題意識を収集し、すぐに引き出せるよう鍛錬しないと、経験は積み上がらない。手を抜くな

あと、弊社トレンド急上昇ワード「蓄積・開示・分析」に該当するトピックなので2016年のホットトピックとなるだろう

5.異分野同士の「架け橋」になることがイノベーションを生むカギになる

何の話だっけ、と思ったが、単なるコーディネーターで終わってはダメだという話のように読めた。この節はたぶん掘り下げが足りない

 

第4章 イノベーションを生む「組織」のつくりかた

1.日本企業に足りないのは長期的なビジョン

もっと先鋭化させたい節。

途方も無く大きいビジョンをもて、という内容で、最近では「企業が学校にいく理由」として「教育応援グランプリ」でのキーノートでも話した内容と重なってくる。

ここを膨らませれば教育開発でやりたいこと、やっていることがもっと伝わるのに。と思う。

 

2.モチベーションでなく、パッションをコントロールする

肉付けしたい節

なぜなら世界初の組織行動学の理論体系にチャレンジしている可能性があるから。どこのMBAでもパッション=コントロールを主軸とした企業の組織行動学を教えていない。軍隊にもこんなことは行われていない。宗教組織はどうだろうか?ゲリラは?

パッションを引き出す、邪魔しない、尊重するといった態度を上司部下が持つようになるにはどうしたらいいか?それによってどれくらいパフォーマンスが出るのか?

 

3.社長のスケジュールは全社員が自由に埋める

丸さんお疲れ様です。体をだいじにしてください

 

4.同時並行にすすめる中でイノベーションの種が生まれる

働き方。日常でややコンフリクトを感じる。

45分で切り替えていこう、という話で、マルチタスクとはちょっと違う。一つのプロジェクトを集中して取り組んだら、また切り替えて、というのがリズムをつくる。

自分の観測範囲では、プロジェクトの掛け持ちをしてないクライアントのほうが少ないくらいなので、きっと他社でも使える発想(だといいな)

しかし、最近の悩みは長時間集中を確保することだったりする。。その辺がコンフリクト。

 

5.新規プロジェクトはお金ではなく「会社の資産になるかどうか」を考える

展開例が生まれた節。

この節の考え方にもとづくことで、ベンチャーが1個目の仕事をどう取るか?という話になったときに、「値下げしてもいいけど、実績が出せるか?」というのを交渉条件に加えるべきと思うようになった。

 

6.市場は、調べずに「つくり出す」

もっともっと肉付けができる節。

市場調査を先行させてもろくなクエスチョンには至らない、という思いから書かれた節という印象があり、さっさとクエスチョンの解決を考えたほうがいいよ、とアドバイスしているが、それでは困ってしまうシチュエーションがある。

①とはいえ投資・融資をうけるときに市場を定義する必要がある

②市場が実際にできるまで見せられないと不便

という困り事だ。よって、ここの節は今後「市場を定義する」というスタートアップ向け指南を肉付けしていくことで充実させられる。

 

7.「成果主義」ではなく「プロセス結果主義」にすべき理由

本当は《成果主義》。

ただし従来の成果主義には定義されていない「成果」を対象にしている。従来の「成果主義」では{人間関係資産}と{育成できた望ましい素質}を対象外にしているから、「プロセス結果主義」という言葉を当てないといけなくなった、と僕は思っている。

理念教育が成果にビルトインされているからウチはまとまりがある。

8.あきらめないこと、考え続けること

ごもっとも。

なぜかエジソンの名言の訳が間違って引用されている気がする節。

"His Genius he was quite content in one brief sentence to define : of one per cent inspiration, of ninety-nine per cent perspiration." -- Harper's Monthly (1932年)

汗を99%かいても、ひらめき1%がなければ天才的な偉業には到達しない、という努力冷笑だという解釈のほうではなくて、彼の天才性はひらめきがもっと大部分をしめると思うかもしれないが、その実際は1%程度なもので、残り大部分は汗かいて実現したものが大きい、という解釈があってるのではないだろうか。努力礼賛であり、あきらめないこと讃歌である。

9.「ビジョナリー・カンパニー」の読み方

ごもっとも。

ビジョナリー・カンパニーが名著たるのは繰り返し参照すると味が出てくるから。事業をやりはじめて、悩んで、ふっと読み返すといいことが書いてある。

10.社員教育としての出前実験教室

4章-1節とあわせて、発展させる節

これも教育応援グランプリのキーノートで触れた内容で大幅上書きされるべき。

 

第5章 イノベーションを生む「社内制度」 からの振り返り

1.小学校の「時間割制」を導入する

日々実践する節

プロジェクト同時並行を支える理屈で、とても重要。

ただし注意がいる。これは、仕事にも「初速」がめっちゃ大事だというスタイルでもある。うーんと悩んで手が動き始めるのが30分だとすると、成果が15分しか出せないことになる。よって、迷いなく着手できるか?は重要なポイント。だから急場でも仕事を渡すときこそ、丁寧な申し送りが重要になる、と僕は思っている。

 

2.部署の枠を超えたプロジェクトを増やす

チャレンジが増える節。会社の枠をも超える。

いままで共通言語化に成功したプロジェクトが多かったような気がしているが、今後は1個1個のプロジェクトが高度に・専門的になっていく気がしている。そんなときでも高度なすりあわせができるか。社内で苦労してたら、社外となんて話にならないので、甘えず鍛錬するしかないと思う。

 

3.旅行休暇を推奨する

旅でリフレッシュ!というか視点を新しくすることができる。

宇宙人視点を持つという話で、佐渡島さんの本にも似た内容が出てきた。

 

4.出社・退社時間を管理しない

裁量労働制ゆえ。

ここに関しては、ベル研究所の興亡の次のフレーズが刺さっている

給料は職場ですごす7時間に対して支払われるが、昇給や昇進は残りの16時間半で何をするかにかかっている。

 体調を整えたり、ストレス解消したり、家族を大切にしたり。生きているのと働いているのは同値だからこそ、どう時間を使うかはすごく大事な観点。

5.名刺に「やりたいこと」を書いてメンバー(M)を集める

そういえば。

自分は活用できていないので、次の名刺改訂でどうにかしよう。

 

6.「中間管理職」という職業の実態をなくす

感性を持ち、かつ信頼される人が必要、という実は過激な主張

中間管理職的な、先輩の理想像とはどんなのだろうか。

Googleの人事制度がHow Google Worksに書かれているが、アレはアレでデータ偏重ということもなく、とてもウェットな判断をたくさんしているのだな、と思った。

従来では「気分や好き嫌いだけで判断しやがる」上司は疎まれていたのだろうし、政治やおべっかがまかり通ったのだと思う。客観かどうかはともかく納得性の高いマネジメントが必要で、それはデータだけでもダメだ。

そしてコーチングの考え方と、「教える」という態度も両方必要だ。「お前ならどう思う」だけで丸投げすると「教える」意識が希薄になる。

7.サラリーマンでなく、ビジネスマンを集める

採用フローの基本思想について書かれた節

なにげに最重要トピックの1つだ、と思う。

今のフローは熱本のほぼその通りである。

  1. 何かのイベントでリバネスを知る
  2. 丸幸弘にドン引きしない
  3. やりたいことが(おぼろげでも)ある
  4. 専門性がある
  5. 2のやりたいことに対して興味を持ちそうな社員がメンターにつく
  6. メンターとともにディスカッション。専門性を活かしたり、新しく学ぶことを認識しながら覚悟と自信を育む。やりたいことをシャープにしていく
  7. 代表面談で覚悟を問う
  8. 全社プレゼンで、全社員を揺り動かせるか

正直、各関門ごとでどのように候補者の素を引き出し、いいプレゼンにしていくか。の悩みはつきない。人によってさまざまだからだ。ここもパッション=マネジメントの知見をためていくことで質向上を図りたい。

深さと時間短縮をどうにかやっていかないと弊社成長できませんで!

8.「今まで私は何をしてきたか」というテーマで2分間プレゼンさせる

たしかに

折にふれてプレゼンする機会がある。またプレゼンをコーチする機会も多くあり、それが人材開発のよい機会となっている。

9.社員全員の関係が一覧できる「PMTマトリクス」を導入する

半期に1度実践

人間関係資産が見える化されてしまう、ある意味怖いしくみ。ただ、これが本当に怖いようだと組織的には難ありとなってしまう。とはいえ問題が起きてから対処するのは難しいのでは。結局、採用から初期育成でちゃんと馴染めることが超重要なんじゃないかと思っている。

10.リーダーシップ、トレーニング、ルーチンの3つの仕事をつくる

意外な発見があった節

日々のプロジェクトをどう組み合わせていくか、という話だが、これが一番効いてくるのは「異動」のときだ。

事業部をうつっても、その人のリーダーシップスタイルや、スキルは消えないので事業部の枠をまたいだ仕事設計ができる。それで、新しい事業部でリーダーシップワークを積み上げつつ、ルーチンワークを元いた事業部で持っておくといったポートフォリオがつくれる。

もしくは「伸び悩み」対策の1つとも考えられる。

仕事を棚卸ししたら、「トレーニングワークがなかった」となると、その人は学ぶ機会を持てていないことになる。それって半期の経験がちょっともったいない。

 

おわりに

というわけで以上が全節一気レビューでした。まずは書き出すだけで手一杯感ですが、年末の時間を使ってよかったと思います。

何か参考になる1節があったでしょうか。皆さんにとって来年もいい年でありますように。

 

 

 

 

 

「これは人類の夢」という理由で推進される研究にお金を出していいのか

野球少年からバンドマン、お笑い芸人など、夢で生きていく職業になぞらえられることの多い「研究者」ですが、研究者が活動するのに必要なお金はどうやって稼ぐのでしょう。

※あらかじめお断りしておきますが、特定の分野を貶めたり、揶揄するものでもないですし、発言主に意図があるものでもありません。

 

多くの自然科学研究者は科研費というものを申請します。申請にあたって、書類のなかに「本研究の目的」を書く欄があり、そこに「〜〜を達成することは人類の夢である」と書くことがあるらしい。というツイートをみました

 

お前の夢だろ。とツッコまれないようにしないといけないでしょうね。

逆に、「その夢、一緒に叶えよう」と(個人的に)思ったらお金がついて、研究が進めばいいと思うんですよ。それが(世の中的に)お金をつけるべき、という判断は誰がしているんでしょうか。現在は科研費の審査員ですから、似た分野の人ですね。