チェシャ猫に学ぶ、スタートアップに経営ビジョンが必要な理由
アリス: どちらの道に行ったらいいの?
チェシャ猫: そりゃ、おまえがどこへ行きたいんだい。
アリス: わからないわ・・・
チェシャ猫: それなら、どっちに行っても同じことさ。("Then it doesn't matter. If you don't know where you are going, any road will get you there.")
有名なルイス・キャロルの児童小説『不思議の国のアリス』の中の1場面。
どこに行っても、どの道を通っても、目的地がわかってなければ無意味だということをチェシャ猫は言っています。
企業も同じじゃないでしょうか。スタートアップ、大企業の新規事業いずれも、説得力のある、時を越えて通用するようなビジョンがないと、何に取り組もうが意味がありません。
どのような技術を採択するか、どのように販売するかは関係ないのです。
ましてやテクノロジーや、今の景気動向(盛り上がってるかどうか)なんていうものは直ぐにうつろいます。
時間の変化やテクノロジーの変化に対して、Robust(ロバストである、頑健性がある)なビジョンが望ましく、パッと見では抽象的であることが多いです。
例えば
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科学技術の発展と地球貢献を実現する(リバネス、手前味噌ですが)
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Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。
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Twitterのミッションは、言語や文化などの障壁をなくして、思いついたアイデアや見つけた情報を一瞬にして共有する力をすべての人に提供することです。
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遺伝子の研究を推進し、正しい使い方を広め、人々の生活を豊かにすること。それが私たちのミッションです(ジーンクエスト)
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最先端テクノロジーで健康をデザインし、病気ゼロの社会を実現する(メタジェン)
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オリィ研究所は 「あいたい人にあえる、 いきたい所にいける」 を実現する会社です。(オリィ研究所)
抽象的ですね。
個別具体のテクノロジーに言及していません。
「Rasberry Piを使って安価にhogehogeのIoT化をします」はビジョンとしては3流です。
例えばフィンテックでも「ブロックチェーン技術を使って〜します」とか、「〜〜認証技術を提供します」ぐらいの言い方だと、長持ちしてせいぜい2年くらいの感じしませんか?
たぶん、いまビッグデータとかデータサイエンティストって言ってる人が減っているのと一緒じゃないかと。
トレンドは1年も持てばいいほうで、技術も数年で賞味期限が切れてしまうような業界が多いと思います。
また、「最高峰のロボットハンド制御技術」とか「世界最速の〜〜技術」とか品質を問題にするビジョンを掲げるのもいまいちです。
そりゃ、品質はいいに越したことないです。
が、それで結局どこに向かうのかがわからないのです。
1番になったらどうするの?1番じゃなくなったらどうなるの?
困っちゃうでしょ?
抽象的でもいいから、遠い未来に何が起きているのか、どういう状態を目指しているのか、誰が喜ぶのかを掘り下げることでビジョン形成するのが重要です。
TECH PLANTERでは、技術の実用化に際して重要な、ビジョン形成の作業を熱く手伝っています。ご相談お待ちしています。