まとめ 超異分野シンポジウム 〜日本発のオープンイノベーションを考える〜
製薬企業による研究テーマ公募型の取組みなど、日本の大手メーカーが大学との共同研究を活発化し始めています。一方で、どのような企業とアカデミアのコラボレーションの形があっているのか、国内でのオープンイノベーションは試行錯誤の段階にあります。今回は企業関係者、科学技術に関連した知財に詳しい大学関係者、現役の研究者をパネラーに迎え、それぞれの立場からオープンイノベーションについての考えを述べていただき、これからのオープンイノベーションについて議論します。
実施日時
2016年3月13日(日) 16:10-17:40
対象
どなたでも参加可能
オープニング
#超異分野学会 も企画ラスト。シンポジウム開始也
「日本発のオープンイノベーションを考える」スタート。
後藤吉正 氏 国立研究開発法人 科学技術振興機構 理事。「チェスブロウが2003年に言い出したから始まったわけではない。電機の分野などを代表に、ずっとやられてきた」 #超異分野学会
「大学と企業のオープンイノベーションが強調されてきたのは、”企業だけでは新しいテクノロジーをつくるには限界”という認識が広まったから。学術界はあるいみ売りて市場だと思ってもいいのでは」 #超異分野学会
「産業界からいくつかの声明を出して、学術界への要望がでているような状況である」 #超異分野学会
「JSTは何をしているか。ベンチャーをつくれそうなテクノロジーに資金を出す、STARTという事業をやっている。ベンチャーをつくった後の資金的支援もファンドを構えて実施している。共同研究については何十年も実施。プロジェクトも数百万〜億単位でさまざま」 #超異分野学会
かずさDNA研究所 副所長小原「基礎研究の代表としてお話をさせてもらいますが、私自身がオープンイノベーションという言葉から受ける印象を話したい。研究者は事業化よりも社会インパクトを与えることをやりたいと考える色合いが濃いのではないかと思う」 #超異分野学会
「個人のゲノムをやる話しは、30年前からあった。どれほど長い時間がかかったか。」 #超異分野学会
「アカデミアは失敗込みで、長い先をみて生み出す動きをする。のが本来だと思う。最近はより実現しうるものをみて動いているのが現状で、研究資金もそういうものに付くようになってきている」 #超異分野学会
「私の師匠にいわれたのは研究するなら、面白いか役に立つかのどっちかにしろ、と。役に立つなら企業の人とドンドンやりなさいと。私が見聞きした東海岸では、研究者もその認識をもっていて、それが連携をドンドン生んでいると思う」 #超異分野学会
「役に立つことをやるのは企業の人のほうが上手。それに大学はなかなか一致団結しないので、企業が優れる」 #超異分野学会
梅澤良夫 氏 株式会社NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 担当部長 「企業側として話す。イノベーションであって、インベンションではない。両方とも価値はあるが、事業性をよい強く見出したいのがイノベーションと思っている」#超異分野学会
梅澤「ドコモとしては、研究開発のための共同研究を大学とはずっとやってきている。振り返ってみるとiモードもプラットフォームをドコモがつくり、上にのる様々なもの、パケット通信を使った何かを皆様とやってきた」 #超異分野学会
「ドコモのベンチャー連携はドコモ・イノベーションビレッジや39Worksなどが走っている」 #超異分野学会
隅藏康一 氏 政策研究大学院大学 准教授 「大学からみると、企業の力を使って実装化をすすめる、という状況。基礎研究にはたくさんのお金を使われている。時代のニーズで、基礎研究への投資がどれだけの成果につながったか、示す必要性が生まれてきている」#超異分野学会
「国のリソース投入に対して、成果を示して欲しいという声が高まってきている。しかしアカデミック研究の費用対効果を示すのはとても難しい。外国でも何か定量的データを示すことは模索中。」 #超異分野学会
「例えば特許データを用いたもの、論文データを用いたものなどが現れてきている」隅蔵先生の関わった調査レポートはたとえば https://t.co/XrsbIlGfQu #超異分野学会
小原「大学でも実用に近い研究をしている人が増えた。それは出口を意識した研究をすること、というグラントが増えたため。契約に関していえば、大学もスピードアップは図ろうとしている。」 #超異分野学会
小原「大学のなかに、企業が使える段階に近い技術シーズがある割合が少し減ってきている。大学もすすめる方向をよく考えたほうがいい。社会実装を目指すもの、誰もやってないテーマの両方を抱えないといけない」 #超異分野学会
小原「若い人が実用化のことしか考えてない、という状況ではまずいので、面白いテーマを見出してほしい」 #超異分野学会
小原「私がわかるゲノムで言いますと、ゲノムには一見無駄とされる領域がむしろ機能を出していたりする。研究者も一度は無駄な部分をもっていたほうがいい、若い頃に。」 #超異分野学会
後藤「日本の基礎研究のソサエティでよくある勘違い。学術、基礎研究は『使いみちを考えずにやること』という誤解がけっこうある。企業は製品開発を大学にやってくれと思ってない。原理原則にのっとった学問をやってほしい。ただし使い道は考えておいてほしい」 #超異分野学会
後藤「財務省も結果はどうだ?と聞いてきますが、見ているのは”本質的な変化”だと思っている。それに、お金をとったら偉いとかそういうものではない。」 #超異分野学会
後藤「研究って別に製品開発のことではなくて、取っただけのお金を使って結果を出してくださいという風になっていく。結果、という言葉には学術的なものも含まれている。失敗したことも含まれていていい。」 #超異分野学会
後藤「NSFやDARPAをお手本にすることがある。結果のでないものにはお金が打ち切られる。日本政府のお金もそうなっていく。結果のでない研究に出す余裕はなくなってきている」 #超異分野学会
梅澤「大学と差があるなあと思うのは守秘義務のところ。アピールのところ。企業は、成果が近ければ近いほど秘密寄りになっていく。大学はある程度アピールも必要で、”あれ何であの話ししちゃってるんだろう”ということがある」 #超異分野学会
梅澤「企業の事業戦略と研究戦略、もしくは市場と研究戦略はわけて論じるべきじゃないかと思って悩んでいる。マーケットの変化が激しく、基礎研究からやっていられない。」 #超異分野学会
梅澤「市場環境がはげしいので、いったん出して学ぼう、リーンスタートアップやアジャイルという考えがあるのが今のITである。」 #超異分野学会
梅澤「自社のど真ん中の技術で、共同研究はあまり考えられない。コストを駆けてでもやってしまおう、となる。しかし新規立ち上げというときには色々な協業を考えやすい。ドコモでいえば通信でなく、医療や農業などでの仕事などがそれに当たる」 #超異分野学会
Q成功事例はどれくらいあるだろうか
隅蔵「成功事例は出てきている。組み合わせ例としては、海外と組んだ例が先行して多い。一方、国内のも存在している。会って話せるのはメリット。」 #超異分野学会
後藤「産学連携で成果がないんじゃないか?といわれるが、無いわけじゃない。青色LEDは絵に書いたようなオープンイノベーションの成果。ただ、世の中で日本の大学は成果を出しているとは思てない。また統計的にも日本企業は海外への大学への支出のほうが多いのがハッキリしている」 #超異分野学会
後藤「ただ、海外の大学では”これだけの成果には、これだけの額が必要ですよ”と正確に見積もる人がいる。日本の大学では”お金はもらって、成果は出たとこ勝負ですよ”となっている。この感覚の違いが支出態度の違いに現れる」 #超異分野学会
後藤「海外では企業が大学の先生に、”なぜ結果が出ていない”と詰めれる間柄がある。日本ではあまりない。ただ成果の約束を志す先生も増えている」 #超異分野学会
後藤「とはいえ、私が大学で感じたのは”結果を出すためのアクティビティが高くなった”。基礎研究の人でも出口をすごく意識しはじめている」 #超異分野学会
梅澤「日本がシリコンバレー型にいきなりなるわけでもないだろうから、日本でもありうると思うのは企業内起業かと思っている。」 #超異分野学会
梅澤「2階建ての経営として、クリステンセンの言うような破壊的イノベーションを志向する2階を持つ、という考え方がある。そこで新規事業をいろいろやる。実験的に取り組む」 #超異分野学会
方法論もいろいろ試す段階 #超異分野学会
Q問題もいろいろ起きると思うがどうか #超異分野学会
隅蔵「大学側の情報管理。大学の先生も複数のプロジェクトを持つので、この情報はA社、この情報はB社というのをしっかりしておく必要がある。秘密保持契約だけの話しではない」 #超異分野学会
隅蔵「秘密保持契約を結んだ場合、相手から秘密として提示されたら使えなくなってしまう。オープンイノベーションのベーシックな条件となってくる。」 #超異分野学会
小原「研究機関でも、プロジェクトごとにノートを別にして成果をつけさせているところがある。もちろん、ボスがそれをしっかりしてないとマネジメントできない」 #超異分野学会
後藤「日本の大学も瀬戸際で、変わらざるを得ない。文科省、経産省などもイノベーションに関する議論のなか”大学はどうあるべきか”という話しが出ている。最大の懸念は人口減少。業界再編しないと生き残れない状況」 #超異分野学会
後藤「大学はこうなってほしい、という要望をドンドン出されるべきじゃないかな」 #超異分野学会
後藤「すべての学科が企業と同じように管理できるわけではない。是々非々混在、柔軟にやっていくしかないのでは」 #超異分野学会
後藤「お金をたくさん出すと、しょうもないことやり始める場合がある。これはストップさせる。ダメなところを止める。これだけでもだいぶ違うだろう」 #超異分野学会
後藤「DARPAもダメなプロジェクトにはお金を止めている」 #超異分野学会
L-RADはどうか
坂本「L-RADのことをカンタンに紹介します。これまでの未利用のアイデアを企業とマッチングしていくつもり」 #超異分野学会
隅蔵「L-RADは機密保持の件もクリアできている仕組み。ただ、遵守できるよう活動する人は体制をちゃんともうけること」 #超異分野学会
M「日本のアカデミアがいけてないという話しが多かったように受け取った。解決策を教えてほしい」 #超異分野学会
坂本「リバネス研究費をもとに、企業と大学を活性化していくことを考えている」 #超異分野学会
後藤「批判のつもりではなくて、期待しているから色々言っている。プレーヤーとして重要なのは、企業。企業の経営者が決断すること。」 #超異分野学会
後藤「大学は大学で、グローバルで競争している。いい人を集めないと生き残れない。マインドを変える必要がある。そこで、任期付研究者の人件費を企業がだせるようにしようという議論もある」 #超異分野学会
隅蔵「1995年科学技術基本法がでて、アカデミアから実用化という流れができて、アカデミアのマインドも変わってきている。企業も変わってきた。」 #超異分野学会
小原「委託している側の問題と、委託をうける側の問題は別。大学は依頼されたらちゃんと返せるかどうか判断すればいい」 #超異分野学会
小原「今の大学の研究者なら、基礎研究をやっているという大事さを理解しているはずである。社会実装のための箱はアカデミアが選ぶべきだ」 #超異分野学会
小原「どちらから一緒に仕事したいか、という観点でも変わってくる。分野によっては大学プッシュと企業プッシュの違いがある」 #超異分野学会
小原「企業と組むスキルはビルドアップしたほうがいい」 #超異分野学会
隅蔵「オープンイノベーションは企業の側の戦略として言われている。そのうち死後になり、当たり前となる。大学のほうから有用な情報を発信していき活用されるようになるだろう」 #超異分野学会
後藤「あえて年寄りとして言うと、チャレンジしていただきたい。研究でも起業でも両方含めて。リスクも伴うが知らないことを知っている専門家を集めて挑戦してほしい」 #超異分野学会
一同拍手 #超異分野学会