リバネス研究日誌(らぼのーと)

エッジが立ってると評判です

上田泰己先生が語った「交配しない遺伝学」をなんとか理解したい

完全に思考整理メモですが、投稿してしまいます。ツイートとかをまとめるプラットフォームとしてのブログ、、、悪くないっす。

今の研究のすごさを認識するうえで、過去からどういう物語にのっかって今の研究があるのかを理解する必要がありそうです。

システム生物学に至るところ

上田先生のツイートにもありますが、上田先生が大学卒業することゲノム解読が完了し、その後、遺伝統計学エピジェネティクス、プロテオミクス、メタボロミクスなどに併せた情報科学の発展が起こります。着実に生物学において、大量並列処理できる対象は広がりつつあったわけです。この状況の変化を、先んじて捉えて、システム生物学をつくりあげるために独自のキャリアを歩まれるわけです(博士の哲学(上田泰己)| インキュビー | リサーチア 研究応援Webマガジン)。

 

システム生物学の前進:最近の成果

去年上田先生のラボから出た、体内時計の計測を血液検査でできるようにした発表(ヒトの血液から簡単に「体内時刻」を調べる手法を確立 | 60秒でわかるプレスリリース | 理化学研究所 )などは、時間ごとに血液内の代謝物を測る実験から生まれた成果です。つまりメタボロミクスの恩恵だったりするわけです。

ほかにも、単純な生化学反応から自律振動子を作る仕組みを解明 | 理化学研究所 こちらは、転写因子レベルでのフィードバックループではなく、もっと素早く起きるループ(タンパク質の修飾によるループ)の発生する仕組みをシミュレーションで解いたというもの。タンパク質が”要素”のレイヤーなら、それをつなぐネットワークはどうなっているんだ?という疑問に答えます。ループがあるのでは?と思っている生物学者は多いんですが、実際にそれがどうしたら成立するのか解けることは少ないです。人工分子時計がつくれる→例えば超ゆっくりな時計を人工的にぶちこむ→ゆっくりした生物ができる?などなど。

 

今アプローチしている「交配しない遺伝学」

 

いわゆるシステム生物学的手法の開拓、実践の第一人者なわけで、プロテオミクスやメタボロミクスまでで止まっていても十分やるべきアイデアはありそうなものなのに、個体レベルでの並列検討をしたいだなんて、なんて野心的なんだろう。しかも個体をちんたら作るのは嫌だから、合成生物学や幹細胞からの個体作成をガンガンやっている。こういう次の10年をつくったりするような一見途方もないアイデアに着手し、成果を出すのが一流なんだろうな、と思った次第でございます。