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リバネス研究日誌(らぼのーと)

エッジが立ってると評判です

『心の知能指数(EQ、EI)が仕事力を知るカギに」という記事をもっと詳しく理解する

組織行動論
感情って大事なの?冷たい人のほうがむしろ仕事できるの?と思ったことがある。自分は比較的感情が表に出るタイプで、昔言われたのが「ウソを器用につけないと損するよ」ということだった。性格はなかなか変えられない。マネジメントできるならしてみたい。と思っている。そんなこともあってか、直感的にだけれども、ビジネスにおいて感情のマネジメントは大事だと思っている

「心の知能」、従業員の仕事力を知るカギに=米研究

ロイター通信から「心の知能 i.e. EI (Emotion Intelligence)」に関する記事が出ていた。バージニアコモンヘルス大学の研究チームによれば、EI (Emotion Intelligence)の計測が仕事の能力を知るための重要な要素だという

元の論文(英文、無料)によれば

  • 過去10年の研究を分析し、統計分析などをアップデートした
  • 研究手法を大きく3つに大別した
  • 3つの手法で提示された全ての結果はEIが重要だと示していた

ということを発表しており、「心の知能指数(EIもしくはEQ)は、仕事のパフォーマンスを知るうえで重要な指標である」という。

これについて、「組織行動のマネジメント」を参考にしながら考えてみた。


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1.組織行動論での「感情」整理

そもそも組織行動論で指す「感情」とは

感情とは、ヒトが経験するさまざまなきもちを表す総称のこととしている。大きく2つに分類すると

  1. 情動(emotion)
  2. 気分(mood)

に分けられる。感情はヒトがある対象に対して反応したものである。「誰かに・何かに」という対象が決まっている。何かをきっかけに対象を見失うと感情は「気分」に変化する。

「感情」が注目されなかった理由

これには2つ理由があったと指摘されている。

1)合理性に反するから

経営がうまくいっているときは、感情を取り除けたものと扱われてきた。欲求不満、怒り、愛、嫌悪、悲しみ、嫉妬といった感情は、合理性を追求するときには無駄だという考え方がある。

2)秩序を乱すから

感情的という言葉もよい意味ではない。多くの場合、「怒り」に焦点が当たっている。建設的な話はあまり出てこない。秩序を乱す存在であるので、無視する必要があった。

「感情」への注目の高まり

人の行動と感情を切り離すのは不可能だと悟ったから。感情は従業員の行動を説明・予測するために必要な要素であると認識された。そのため、感情についての研究が見直されるようになった。

心の知能指数(EI, EQ)とは

知能指数(IQ)との対比で用いられることが多い。IQでは知能は測れても、本当にできる人かわからないという意見があったからだ。心の知能指数(EIもしくはEQ)を構成するのは次の5つの指標だ。

  1. 自己認識:自分の感情を認識するスキル
  2. 自己統制:自分の感情や衝動を統制する能力
  3. 動機づけ:挫折や失敗の中で耐えぬく能力
  4. 共感:他人の感情を察することが出来る能力
  5. 社会的スキル:他人の感情に対処できる能力

2.組織行動マネジメントへの応用

方向性?:採用・昇進選抜

1つは、EIを活用して昇進などの選抜基準を作ることが考えられている。アメリカの空軍では選抜基準に取り入れられているという。導入後の調査ではEIの点数が高い候補者は、点数が低い候補者に比べて2.6倍も成功する確率が高いことがわかっている。

方向性?:リーダーシップ開発

部下を指揮する能力を見る上でもEIは重要だと考えられている。優れたリーダーは、自分のメッセージを伝えるために「感情」を使う。リーダーが張り切っていて、熱意を持って、前向きである場合、部下を活気づけ、「よし、やろう」と思わせることができる。リーダーがしょげていたら?部下は前向きにはならないだろう。そこで感情をマネジメントしたほうがよいと考えられている。

3.今回発表された研究の意味は?

このような文脈を前提にすると、発表された研究の意味合いもわかる。複数の手法で出たデータが、同じ結果・方向性を示したというのはすばらしい成果だと思う。いままで「なんとなく正しそう」と言われたものが束ねられる。

自分がかつて大学院で行っていたバイオの研究では、人によって再現性が異なった。まるで逆さの内容が出ることもあった。統一的な見解をだすことはとても難しいことだと思っている。そういう意味で、この研究が言っていることはずいぶんと優れた成果に見える。

4.応用にあたっての課題は?

相関と因果は違う。論文では相関関係までしか説明されていない。「心の知能指数を高めれば、仕事のパフォーマンスが向上する」という因果関係まで踏み込めない。そうでなければEIを上げる意味はあるだろうか。今後、因果関係を検証する方法の開発、そして調査をすることが課題となってくるだろう。

5.今後の可能性

人事管理に応用できそう

相関があるという研究が発表になったわけだが、そこまでは「ごくごく当たり前」の結果のように感じる。はじめは「海のものとも山のものともつかない」状態であったEIという指標が有効であると示せたことが進展なのだろう。もっと踏み込んで「このようにEIを高めれば、仕事のパフォーマンスが上がる」という因果関係まで示せれば面白い。例えば既存の研修がどれだけEIを高めるか、会社の持っている文化のうち何がEIを高めるドライバーとなっているか。客観的数値をもとに議論ができるようになる。EIを下げる取り組みは即刻捨て去り、EIを上げる取り組みを導入しよう、となったら明確で気持ちイイ。人材育成や評価の基準とすることができる。

昔ながらの「人柄を見る」採用のために、客観指標が必要とされそう

人柄を見ると昔から言われている。本当に「人を見て採用している」というならば何も問題はなさそうだ。むしろEIは後付の説明っぽい印象すらある。しかしどれだけのことをしたら本当に「人柄を見た」ことになるのだろう。うちの会社の長期インターンシップは間違いなく「人」を見るために十分な期間があったと思う。プロジェクトを通じて一緒に仕事をして、子どもと向き合って、反省会をして、また次のプロジェクトに入って、という一連の仕事のサイクルで見えるものがある。また、パーティなどの仕事以外の部分でも見えるものがあるだろう。

他所はどうしているのだろう。型どおりの履歴書→面接→グループディスカッション→人事面接→役員面接、ではわからないことが一杯ありそうだ。リクルーターやOB訪問を組合せたりしないと、ゼッタイに応募者のことなんかわからないように思う。変な質問をしたりするのはそのためなのか。それに、時代が急激に変化していくなかで「どんな人が今後の会社の発展に必要か」どんどん見えにくくなっているという。グローバル人材がほしい、とたくさんの企業が言っているが実際にどれだけ目利きできるものだろうか。言葉や文化圏が変わったら「人柄」なんてわからなくなるんじゃないか?もしEIの数値指標が言語や文化圏にかかわらず有効なら、導入を検討したほうがよいのかもしれない。